政治的なこと

 今回の中国と韓国の反日デモの件は、日本人として相手に対して腹立たしく思うことが多々あるのですが、考えようによっては、やっと竹島問題、あるいは言論統制反日教育で国民を洗脳してゆく国家政策の恐ろしさを日本人に知らしめたというてんで意味のある出来事だといえるかもしれません。
 国境に関して言うと、日本は島国で、隣の国に領土を取られたという歴史が近代に入るまでほとんど無かったせいか(取ったことはあるくせに)、自分たちの領土をあらゆる手立てで守るということに余りにも無頓着なところがあります。
 ならば国がもっと国民を啓蒙して「いまの日本には隣の国とのあいだでこれこれの解決できていない領土問題があります」ということを国民に知らしむべきなのに、相手国との摩擦を恐れてかほとんどそれをしていません。
 これは難しい問題をはらんでいることは事実です。ヘタに啓蒙活動をすると、国民の中には理性で理解する以前に感情で理解する人たちが案外いて、反ロ、反中、反韓感情を高ぶらせてしまう恐れがある。現に竹島問題に関するいまの韓国民の反応がそうで、韓国政府が「竹島(韓国で言う独島)は古来から韓国の領土」と教え続けているものだから、多くの韓国民が歴史を公正に検証することなしに日本に対して腹立たしく思っています。
 日本国政府は李承晩政権が強引に竹島を占拠したときから一貫して「竹島は日本の領土だから返してほしい。なんならどちらの言い分が正しいか第三者に判断してもらいましょう」と言い続けてはいるのですが、日本国民に状況を説明し続けることを怠ってきました。
 だから「韓国との間にそんな領土問題があることを今まで知りませんでした」という日本人も出てくるのです。
 領土問題というのは一朝一夕に解決できる簡単な問題ではなく、100年後にも解決しているかどうかわからない難しい問題です。大事なのは解決するまで感情に流されること無く根気強く自分たちの主張をし続けることであり、そのためにも国民への啓蒙は欠かせないことだと思います。
 さいわい日本人の多くは「国がそう言うからそうなんだろう」と無批判に国のいうことを受け入れてしまわず、国の言っている内容を自分の頭で咀嚼して自分の考えを持つ能力を持っています。(中には日本国が白といえば黒いものでも白いんだと思っている人もいないではないですが少数です。)扇動することはありません。歴史的事実を包み隠さず国民に知らしめるだけで構いません。あとは国民がどちらの言い分に理があるか判断しますよ。
 韓国の今回の行動には、たいへん失礼な言い方になりますが、大人げないというか子供っぽさを感じてしまいますが、中国の今回の行動には逆に大人としての狡猾さを感じています。
 日本人として忘れてはならないのはいまの中華人民共和国はたとえどんなに経済発展しようとも国民が言いたいことを自由にいえない一党独裁国家だという現実です。
 韓国も中国も、決して誤解から日本を非難しているのではありません。両国共に東アジアで日本が突出した力をもつことを望んではいないのです。だから事あるごとに何かの理由をつけては日本を非難して叩こうとするのです。そうすることがまた国内の不満の矛先の向きを変えるにも最適で、反日はまさに一石二鳥の策なのです。そんな確信的に取られている政策に、慌てふためいて言い訳したりする必要は毛頭なく「あなた方のおっしゃることは他国に対する内政干渉ですよ」とやわらかく諭せばいいことです。日本国政府が第一に気を使わなければならない相手は、隣の国ではなく、日本国民です。
 国家がその行動に対して第一に責任を追わなければならないのは自国民に対してである。そんな近代国家の基本すらわかっていないのなら「国連常任理事国」に立候補する資格などないのではないかと、韓国や中国と違った意味で思ってしまうきょうこの頃です。