松本清張と司馬遼太郎

松本清張司馬遼太郎
若い頃の私にいろんなことを教えてくれた、思い入れの深い作家です。
ただ、これまで自分の店には、この二人の著作は置いていませんでした。ともに、たいへん人気のある作家でどの本も発行部数が多く、本を持っていたり読んだことがある人も多くて、加えて今でも本屋さんに並んでいる本も多いので、古本屋が店に並べても、高い値もつけられないし、売れる可能性も低いと思っていたからです。
ところがよくよく新刊本の本屋さんを見てみると、司馬遼太郎はともかく、松本清張のほうは意外と手に入りにくくなっている著作が多いことに気づきました。彼の古代史関連の著作、現代史関連の著作などは本屋にほとんど置いてありません。
それで、今回初めて「日本の黒い霧」(松本清張著)を自分の店の棚に置きました。
さてこの二人、まるで違ったタイプの作品を書いていますが、二人共のファンの私が見ると、似通ったところが見えてきます。
二人とも権力が大嫌いでした。ただ、それに対する処し方は違います。松本清張は権力や権威の横暴に対して吼えて吼えて吼えまくりました。司馬遼太郎は権力を毛嫌いして近づかないように逃げていました。
二人とも本の虫でした。しかも二人とも、一読でその本の重要な点を把握する能力に長けていました。ただしこれも二人とも、本はあくまでも知識を得るための手段に過ぎないという考え方で、ペ-ジに折り目がつくことや本自体が汚れることには無頓着でした。
朝日新聞社文藝春秋という、何かにつけ対立する二つのメディアの双方から愛されていた点もこの二人の共通点に上げていいかと思います。
(書きながらふと思ったのですが、松本清張毎日新聞社から本を出したことが一度も無かったように記憶するのですが私の記憶違いでしょうか。もしあっていたとしてその理由をご存知の方がおられたら教えていただきたし。)
好きな作家だけに、これからもたびたび話の中に登場すると思いますが、きょうはとりあえず入り口だけで終わります。
本日のお勧め本は半藤一利著「清張さんと司馬さん」。

清張さんと司馬さん

清張さんと司馬さん