ムクゲノ花ガ咲キマシタ

 今朝の読売新聞(大阪本社徳島県版)の「方位計」欄に「『ムクゲノ花』へ後退させるな」という記事が載っていました。
 内容は、
「最近の韓国のIAEAに無申告で行なわれていた核関連実験の発覚問題で(韓国で1993年に書かれ超ベストセラ-となった小説)『ムクゲノ花ガ咲キマシタ』が日本の外交関係者の間で話題にのぼる機会が増えたという。
 その『ムクゲノ花ガ咲キマシタ』のあらすじは、日本が竹島領有問題を口実に韓国に武力攻撃を仕掛け、韓国は極秘裏に北朝鮮と共同で核兵器を開発し、核攻撃で対抗するというもの。
 今回の事件で『実際に韓国はこんなことをもくろんでいるのではないか』と思う日本人が増えると、反動で『日本も核武装せよ』との意見が大きくなりかねない。そうなることを恐れる」
 というもの。最後に「『ムクゲノ花』から『冬のソナタ』への歩みを、後戻りさせてはならない」と結んである。
 全く同感です。
 「ムクゲノ花ガ咲キマシタ」は私も読みましたが、正直なところ出来の悪いサスペンス小説で、加えて日本のことを極悪非道の敵役に仕立てているため(ラストでは日本の総理大臣が韓国大統領に『全て大統領の意に従います。どうか攻撃をお止めください』と謝ります)自分たちのほうが格が上なのだという儒教的格式意識の匂いが強くして、読後感はよくなかった。
 私が「古本屋グラッパ」を開くとき、店に何か特徴を持たせようといろいろ考えて、結果「コリア関連」という本棚をいちばん目立つ場所に設けることにしました。
 韓国・北朝鮮に大して詳しいわけではありません。けれど、韓国・北朝鮮と日本は地理的に「お隣さん」どうし。人の場合、隣人がどうしても気に入らなければ引越しも出来るけれど、国と国との場合は、江戸時代のような国替えがありえない以上、これからもずっと「お隣さん」でいる以外ありません。である以上、対立して喧嘩ばかりしているよりは、仲良くするほうが百倍良いに決まっている。
 そうするための一番は、自分と相手の文化や立場の違いを理解して尊重し「おせっかい」をやかないことだろう。
 そのためには、少しでも多くの韓国・北朝鮮に関する本を、一人でも多くの人に紹介して読んでもらうのが良いのではないか。そんな考えからです。
 しかし、本をサイトに登録する際に迷ってしまうことがよくある。この「ムクゲノ花ガ咲キマシタ」などもそうです。日本と韓国・北朝鮮、お互い隣国同士が仲良くなるのに役立ちたいと設けた棚なのに、この本を売ることで逆に韓国に悪感情を持つ日本人をひとり増やしてしまうのではなかろうかと__。
 結局、韓国内で社会現象となるぐらい超ベストセラ-となった本を実際に読んでもらうのは、韓国人の深層心理を理解する上でも意味があろうと考えて、「娯楽小説にそう目くじらを立てることもないと思う」との寸評を付けて、本棚に並べました。
(店に並べた「ムクゲノ花ガ咲キマシタ」はすでに販売済みとなっております。)