「古本屋」と「古書店」

 きのうの日記が「はてなダイアリ−」への初登録の日記だったので、日記を書いて「この内容を登録する」ボタンをクリックした後、すぐさま登録された自分の日記を眺めておりました。
 アンダ−ラインの引かれた言葉を見て、「なるほどこんな言葉にリンクが設定されているのか」と思いながらいちばん最初に登場するキ−ワ−ド「古本屋」をクリックしてみると、

 「中古の本を売っているお店。古書店。」

という説明文が現れました。この文の中の「古書店」にもリンクが設定されていたので、またクリックすると、

 「古本屋。」

とあって、続いて「古本屋と古書店の名称の違いについては下記などを参照」とあり、その下にずいぶん長ったらしいアドレスが記されていました。「どこに連れて行ってくれるのだろう」と思いながらこれもまたクリックしてみると、ついた先はインタ−ネットの百科事典『ウィキペディア』の「ノ−ト:古書店」の項でした。
 そこでは何人かの人が「古本屋」と「古書店」の違いについて熱い議論を戦わせており、私も最近オンライン古本屋を開いた者として興味深く読ませてもらいました。
 きょうはそのことについて書こうと思います。
 「古本屋」も「古書店」も広い意味では全く同じに扱われます。しかし狭い意味では違います。狭い意味では「古本」という言葉と「古書」という言葉が区別されるからです。
 どう違うのか。
 いわく、「古本」は新刊でも手に入る本。「古書」は新刊では買えない本。
 いわく、「古本」は定価以下で売られる本。「古書」は定価以上で取引される本。
 このへんは『ウィキペディア』でも言われていました。なるほどと思う反面、じゃあ、絶版になってた本が復刻されたら「古書」が「古本」に変わるのか?とか出版部数が少なくていま何万円もしているアイドル写真集は「古書」なのか?とも思ってしまう。
 この業界に反町茂雄という大物がいて(すでに鬼籍に入られているが)、今から四半世紀ほど前の雑誌で、「古本」と「古書」および「古典籍」の三つの区分を、本が作られた年代とその形態から試みています。古い順に並べると、
 「古典籍」___太古から明治10年頃までに製作されたもの。和紙に筆写あるいは木版刷りで和装
 「古書」___明治10年頃から昭和20年までに製作。洋紙、洋製本、金属性活字版。
 「古本」___戦後、現在まで。洋紙、洋製本、金属性活字版。
 このうちの「古書」を主に扱う店を「古書店」、「古本」を主に扱う店を「古本屋」と考えれば狭い意味での「古書店」と「古本屋」の違いはわかりやすくないでしょうか。
 ちなみに反町茂雄氏はこの他にも三者の相違点を上げていて、
 「古典籍」は、定価の記載がなく、販売価格はおよそ千円から五億円、目録販売が主で店舗は不要、顧客はほぼ特定され少数、修行年数は最低でも五年必要、一通りのことを覚えるには十年、勉強は生涯必要。
 「古書」は、定価の記載はあるが売価と関係なし、販売価格はおよそ百円から二千万円、目録・店舗併用、顧客は特定・非特定半半、修行年数は最低三年。
 「古本」は、定価の記載があって売価と深く関係し、売価はおよそ三百円から二万円、顧客は不特定多数、修行は約一年。
 とあります。根気のない私なぞ古典籍や古書はあつかえませんわ。